転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「よかった……」

 絵が描かれた部分を重ね合わせて収納していたおかげで、どうにか無事に回収できた。
 木製フレームに細かい傷がついてしまったが、訳あり品として販売してもらえるように交渉すればいいだけだ。

 せっかく完成させた絵が無駄にならなくて、本当によかった。

 私はほっと胸を撫で下ろしたあと、彼にお礼を告げる。

「捕まえてくださって、本当に助かりました……」

 ディルクさんは泥棒さんを手刀で卒倒させると、こちらを心配する素振りを見せた。

「怪我はないか」
「は、はい。私は、問題ありません」
「ユニィ!」
「この子も、元気いっぱいで……」

 「僕のことも忘れないで」と主張するように、神獣が明るい声を響かせる。
 ディルクさんは泥棒さんの手足を紐で縛って拘束し終えたあと、私の話を遮って両手を広げた。

 一体これから、何をするつもりなのかしら……。

 不思議に思いつつその光景をぼんやりと眺めていると、彼はまるで壊れ物に触れるかのように優しく細い身体を包み込む。

「君が無事で、本当によかった……」

 耳元で囁かれた声音は心底安堵したと言わんばかりのもので、困惑を隠せない。
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