転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 そんな姿すらも愛おしいと口元を綻ばせれば、彼は顔を近づけようとして不自然に動きを止めた。
 白い結婚をすると約束したからこそ、唇を触れ合わせるのも駄目なのではないかと、心配しているのかもしれない。

 ――でも、ね。
 私は思うの……。

 一角獣が過度な身体接触すらも嫌がるのであれば、こうして抱きしめ合っていることにだって許可を出さないはずでしょう?
 だからきっと、大丈夫。
 結婚式を執り行えば、誓いの口づけを避けては通れないのだから――。

「シエル。愛している……。世界で一番美しい、俺の大聖女」
「私が心の底から信頼している殿方は、ディルクさんだけです……」

 私たちは気持ちを通じ合わせた喜びを互いへ伝えるために、何度も角度を変えて唇を重ねた。
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