転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「俺は自分が思っているよりもずっと、心が狭いようだ……」

 ――正式に書面を交わして夫婦になったあとも、誰かに私を取られるかもしれないと不安で仕方がないようだ。

 妹に何もかもを奪われた私は、その感情をよく知っている。
 心配する必要はないと慰めても、無意味だと……。

「シエル。ほかの男に、目移りしないでくれ。たとえそれが、既婚者であっても関係ない。いつまでも、俺だけを見てほしい」

 彼を安心させるには、ディルクさんが一番だと態度や行動で示す必要があった。

「はい」

 私がしっかりと頷いて了承すれば、彼はほっと胸を撫で下ろした様子で肩の力を抜いた。

「いやー。殿下はほんとに、独占欲の塊だな」
「シエルが愛らしいせいだ」
「俺は悪くないって? そんなこと言ってると、嫁さんに嫌われるぞー」

 ――夫婦の間に、甘い雰囲気が漂ったからか。
 カルトンさんニヤニヤと意地汚い笑みを浮かべ、ケラケラと笑い声を上げながら夫を茶化す。

 彼のテンションが急降下していくのを感じながら、私は助けを求めるようにユニコーンへ視線を向けた。
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