転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ユニコーンが「危害を加えてきたら、僕が角で突くよ!」と自信満々に鳴き声を上げる姿を聞く。
 その後、私は堂々と帰路につくディルクさんの腕の中に庇護された状態で、10年ぶりに両親の姿を目撃した。

「殿下……!」

 真っ先に口を開いたのは、父親だった。
 彼はべサリオ公爵に呼ばれたのに気づき、冷たい視線を向けたあとに言い放つ。

「言ったはずだ。妹には、知らせるなと」
「も、申し訳なかった……!」

 父は高価な衣服が汚れるのも厭わず、その場に膝をついて項垂れた。
 しかし、誠心誠意謝罪をする姿をどれほど目にしたところで、夫の怒りは収まらない。

「頭を下げた程度で、罪を償えると思うな。俺の妻は、あなたたちが下の娘を止められなかったせいで恐怖を抱いた。許されることではない」
「わかっております。ノエルの罪は、我々べサリオ公爵家が背負って行かなければならぬものだと……!」
「ならば何故、ここに来た」
「神殿に召し上げられた聖女達は、司祭の許可がなければ手紙のやり取りすらも許されませんでした。一目でもいい。どうしても、娘の元気な姿を見たくて……」
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