転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ノエルによく似た桃色の髪を揺らしたのは、大人しそうな垂れ目と灰色の瞳が印象深い顔立ちの母親だった。

 あの子によく似た容姿を目にしたからか。
 内心不安な気持ちでいっぱいな気持ちになりながら、心を落ち着ける。

「本当にそれだけなら、きちんと理由を説明すればよかった。待ち伏せなど……。この親あって、この子ありとしか言いようがない」
「殿下……!」

 そうこうしている間にも、ディルクさんの眉間の皺はどんどんと深くなっていく。

「どうか我々に、チャンスをくださらないでしょうか!」
「俺は充分に与えたはずだ。反故にしたのは、貴様らのほうだろう」
「ノエルに対する教育が行き届いていなかったことに対しては、深く反省しております! ですから……!」
「くどい」

 夫は代わる代わる説得を試みる夫妻の懇願を一蹴すると、彼らを突き放す。

「下の娘のようになりたくなければ、これ以上シエルに関わるな」
「殿下! お願いです! 一言だけでもいい! どうか、娘と……! 言葉を交わさせてくれ……!」
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