転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 子どもを育てる親は、産んだ責任を取るべきだ。
 2人の姉妹を分け隔てなく育てるべきだったのに――彼らは罪を犯したノエルを、不要だと言った。

 ――いくらあの子が私に対して酷い言葉を投げかけ、前世だけでは飽き足らず今世でも苦しめたとしても――そんなふうに娘を扱う人たちと友好な関係を続けていくなんて、絶対に無理だ。

 ――カルトンさんとディルクさんが私に会わせないようにしたのは、きっと間違いではなかったのね……。

「ディルクさん。ありがとう」

 ――両親の話を聞いて、よくわかった。
 前世よりはマシだけれど、彼らはあの人たちとよく似た思考の持ち主なのだと……。

「シエルは、ベサリオ公爵家の宝だ」

 生まれた子どもを思い通りに動かすことだけを考えている人たちと、よりよい関係を築いて行くなんて絶対に無理だ。

「言いたいことがそれだけなら、帰ってくれ」
「ユーニィッ」
「な……っ!?」

 ユニコーンが彼の背中から飛び出て、勢いよく父に攻撃をしかける。

 神獣に拒絶されるなど思わなかったのだろう。
 べサリオ公爵は、驚きで目を見開きながら土の上に転がった。
 妹のように喚き散らすことなかったが、母の悲痛な叫び声だけは長い間耳に残る。
< 242 / 249 >

この作品をシェア

pagetop