転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「どうして……っ!?」

 ――そんなの、私が聞きたいくらいだ。

 姉妹へ平等に愛を注ぐのって、そんなに大変なことなの?
 1人しか必要ないなら、子どもなんか作らなければよかったのに。
 不出来な妹も、お腹を痛めて大切に産み育てた娘でしょう?
 そんなふうに切り捨てたら、あの子が可哀想。

 そうやってここにはいないノエルを哀れに思うのは、立場が逆転したからだ。

 もしも彼女に立ち向かう勇気を得られなければ、公爵夫妻にいないものとして扱われていたのは自分の方だっただろう。
 それが何よりも悔しくて、苦しかった。

「私の家族は、ディルクさんとユニコーンだけですから……」

 ――ポツリと呟いた声が両親に聞こえたかなど、今の自分にはどうでもよかった。
 もう2度と、会う気などないのだから……。

「お帰りなさいませ、旦那様。奥様」

 足元に縋りつく邪魔な公爵がいなくなって、清々したのだろう。
 ディルクさんは玄関で成り行きを見守っていたリルムさんに声をかけたあと、脇目も振らずに寝室へ向かう。

「他に異変は」
「ありません」
「ならいい」
「ユーニィ!」
< 243 / 249 >

この作品をシェア

pagetop