転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「行く宛はあるの?」

 好きでもない男と結婚するくらいなら、命を落とす。
 そう決めた私にとって、この展開は想定外だった。
 行く宛がなく1人と1匹の無一文旅など、ハードモードにも程がある。
 生きるために長く苦しい思いをする羽目になるとわかっているのであれば、無理にでもユニコーンの背から転がり落ち――地面に頭を叩きつけて命を絶ったほうがマシだ。
 そう、思っての発言だったのだが……。

「ユニコッ!」

 一角獣は「僕に任せて!」と言わんばかりの元気な鳴き声を上げた。
 私はひとまず、この子を信じてみることにした。
 どうせ二度も、失われるはずだった命だ。
 ユニコーンが私に生きていてほしいと願うなら、少しだけ信じてみようと思った。
 この子が向かう先に、前世の私が喉から手が出る手が出るほどに欲していた幸せが、訪れることを願って――。
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