転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 前世には、ろくな思い出がない。
 姉の私は、いつだって妹の引き立て役。
 あの子の言うことは、絶対だ。
 どんな非道徳的な出来事であったとしても、実行しなければならなかった。

 私の頑張りはすべて、妹の功績に変わった。

 どんなに妹1人の力では成し遂げられなかったことだと告げても、誰1人私の主張に耳を傾けてくれる人はいない。

 最悪な妹。
 乃絵留ばかりを可愛がる、最低な両親。
 何度も勇気を振り絞って命を断とうとした私を止め、無責任な言葉ばかりを投げてかけてくる偽善者――。

『誰か、助けて……!』

 どれほど声高らかに叫んでも、誰も手を差し伸べてはくれなかった。
 それでも私は諦めたくなくて、必死に声を荒らげる。

『仕方ないわよ』
『大人になって一人暮らしをすれば、縁が切れるわ』

 しかしどれほど被害を訴えかけても、誰もが呆れたように適当なアドバイスだけして突き放す。

『もう少しだけ、頑張ってみたら?』

 もう少し、もうちょっと。
 そうやって必死に耐え続けて何も知らない人々の甘い言葉を信じた結果、苦しみは和らぐどころか深まった。
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