転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 そう気持ちを切り替え、仕切り直した。
 しかし、どうやら俺の考えと周りの意見は異なるようだ。

「流石に問題が起きちまったら、護衛の1人もつけずにこの暮らしを継続させるなんて無理だろ」
「お嬢様のお世話は、お任せください」

 幼馴染のカルトンと侍女のリルマが、別荘で共同生活をしたいと手を上げた。

 俺は当然、反対する。
 人見知りな彼女が心を開いてくれるまで、半年もかかったのだ。
 また、他人行儀な態度を取られては堪らない。

「最優先するべきは、殿下の安全だ」

 カルトンに諭され、渋々彼らを受け入れることにしたのだが……。

「私はあなたではなく、ディルクさんを信じます……!」

 やはりシエルは2人を拒絶し、アトリエに籠もってしまった。
 俺は許嫁を追いかけ、壁に飾られた彼女の絵に心を奪われた。

 怒り、苦しみ、悲しみ――。

 その直後、負の感情が引き摺り出された。
 こんな感覚は、初めて経験する。

 この絵画は危険だ。

 精神的に弱い者が目にすればその世界観に引きずり込まれてしまう。
 そう危惧する一方で、これほど強い負の感情を絵画に宿らせる彼女の精神状態が心配になった。
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