転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 それにかなり早い段階で気づき、彼に絵画を預けていた。
 王城の廊下に飾ったところ、異変はすぐに起きた。
 カルトンの話によると、全財産と引き換えに会わせてくれと泣き叫びながら頼み込んでくるほど入れ込むものまで現れたそうだ。

 その結果が、先日の泥棒騒ぎなのだろう。

 こんな状態で絵画を彼の管理が及ばぬ場所へ流通させたら、シエルの身が危ない。
 ひとまず彼女の描いた絵は王家の宝物庫で、厳重に管理することになった。

「殿下って、ほんとに嘘つきだよな。身分を隠し、許嫁だって告げもせず、売り飛ばしたはずの絵画を隠し持ってる……」
「これは彼女の心を守るために、必要なことだ」
「どうだかねぇ」

 自分の絵が誰かの慰みになっている。
 そう思い込んで熱心に絵を描くシエルが真実を知り、己に失望するなどあってはならない。

「この秘密は、墓場まで持っていけ。絶対に、他言するな」
「はいよ」

 幼馴染を共犯者に仕立て上げることに成功し、一息つく。
 こちらが肩の力を抜いた頃を見計らい、カルトンからある疑問を投げかけられた。
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