転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「聖女としては、未覚醒なんだろ? 珍しいことも、あるもんだな」
「神殿は祈りを捧げることで、聖なる力を発動させられるかを見極めている」
「気づけなかったのか?」
「ああ。絵を描くなんて特殊条件を、わかるはずがない……」

 聖なる力を秘めた少女は、聖女として神殿で円十二管理される決まりだ。
 彼女たちの9割が癒やしの力を使っていたため、まさか司祭も例外がいるなど思いもしなかったのだろう。

「聖なる力の、一種なんかねぇ?」
「恐らく。今はシエルが鬱々とした思いをいだいているせいで、負の感情に傾きがちだが――」
「明るい気持ちをいだけば、人々を笑顔にする絵を生み出せるって?」
「その可能性が高い」

 俺は感謝するべきだ。
 神殿が失態を犯したからこそ、彼女の才能が開花したのだから。
 それを喜ぶべきであって、悲しむべきではない。

「俺はいずれ、彼女の鬱々とした気持ちを晴らしてやるつもりだ」
「んじゃ、オレは保護者として見守りますかねぇ?」

 カルトンは俺よりも、5つ年上の男性だ。
 兄ではなく父親代わりを自称する辺りが、不快で堪らない。
 その感情を隠さず表に出せば、幼馴染が肩を竦めて茶化す。
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