転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「どう、して……」
「ユニコーンの鳴き声が、尋常ではなかった。敵襲かと思い、念のため様子を見に来たが……」

 女性が1人で眠る部屋に許可なく入室したはいいものの、ただ悪夢に魘されているだけだと知って、彼も気まずい気持ちでいっぱいなのだろう。
 ディルクさんは私に怒られても仕方ないと言った様子で、こちらの言葉を待っているようだった。

 ――早く言わなきゃ。
 心配してくださり、ありがとうございました、と。
 口元を綻ばせて平気なふりをすれば、詮索されはしないだろう。
 そう、思っていたのに……。

「無事で、よかった」

 彼が心の底から安堵したように全身の力を抜いたから、欲が出た。

「ディルクさんにとっては、迷惑でしかないと、わかっているわ……」

 すっかり年上のディルクさんに向かって敬語で話しかける余裕すらなくなった私は、彼が突き放さずに受け入れてくれることを願って懇願する。

「聞かせてくれ」

 すると、ディルクさんは私の前置きに反応して続きを促してくれた。
 私はほっと胸を撫で下ろし、瞳を潤ませてか細い声を発する。
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