転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「今までよく1人で、頑張ったな」
ディルクさんが私の小さな手に大きな指先を触れ合わせた瞬間――糸が切れた人形のように、ぴたりと唇から紡ぎ出される声が止まった。
――私は今、口にしてはいけない発言をした。
こんな話を聞かされたら、誰もが自分を嫌いになるに決まっている。
彼の優しさを踏み躙ったことに気づき、真っ青な顔でガクガクと全身を震わせて怯えた。
「あ……。あ、わ、私……。ち、違……!」
「大丈夫だ。俺は君を、遠ざけたりしない」
今さら何を取り繕っても蛇足にしかならないとわかっていた。
なのに――私に都合のいい幻影としか思えぬほどに理想的な反応をした彼は、手の甲に触れた指先の力を強めて握りしめる。
「人には誰しも、醜い心がある。それを表に出すか、出さないか。それは人による」
「この思いは、誰かに聞かせてはいけないもので……」
「そうやってずっと耐えてきた君の深層心理が、絵によく現れている」
ディルクさんから思わぬ発言を聞いて、思わず面食らってしまう。
醜い感情が込められた絵なんて、いくら芸術的な価値があったとしても大枚を叩いて買いたくはないからだ。
ディルクさんが私の小さな手に大きな指先を触れ合わせた瞬間――糸が切れた人形のように、ぴたりと唇から紡ぎ出される声が止まった。
――私は今、口にしてはいけない発言をした。
こんな話を聞かされたら、誰もが自分を嫌いになるに決まっている。
彼の優しさを踏み躙ったことに気づき、真っ青な顔でガクガクと全身を震わせて怯えた。
「あ……。あ、わ、私……。ち、違……!」
「大丈夫だ。俺は君を、遠ざけたりしない」
今さら何を取り繕っても蛇足にしかならないとわかっていた。
なのに――私に都合のいい幻影としか思えぬほどに理想的な反応をした彼は、手の甲に触れた指先の力を強めて握りしめる。
「人には誰しも、醜い心がある。それを表に出すか、出さないか。それは人による」
「この思いは、誰かに聞かせてはいけないもので……」
「そうやってずっと耐えてきた君の深層心理が、絵によく現れている」
ディルクさんから思わぬ発言を聞いて、思わず面食らってしまう。
醜い感情が込められた絵なんて、いくら芸術的な価値があったとしても大枚を叩いて買いたくはないからだ。