転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 私は聖女に、選ばれてしまった。

 聖なる力を宿した聖女は、穢れを嫌う。
 親元を引き離された私は俗世から隔離された生活を送る羽目になったが、どうにも雲行きが怪しい。
 私が聖女として選ばれたのは、どうやら間違いだったようなのだ。

『聖女シエルは、いつまで経っても聖なる力を発現できないらしい』
『あんなのが聖女を名乗るなんて……』
『犬にでも食わせておけばいいのに』

 聖女なのに神聖な力を持たないただの小娘だと知った神殿の人々は、私に心ない言葉を投げかけた。
 寄って集って代わる代わる紡がれる悪口の数々など、鮮明に思い出したくもない。

『聖女の資格を持たないただの人間が、手違いでここにいることを許されているなんて……』
『私たちと同列に扱われることすら烏滸がましいと思わないの?』
『さっさと消えて』
『神殿内の秘密が露呈することを恐れているならば、始末してしまえばいいのに』

 こうして私は前世と同じように人々から忌み嫌われる聖女として、悪い意味で有名になった。
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