転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
『ユニコッ』

 そんな時に出会ったのが、私を神殿から連れ出したユニコーンだ。
 あの子は聖なる力が強い聖女が大好きなはずなのに、人嫌いで有名だった。
 そんな気難しい性格の一角獣が、なぜか聖なる力を持たない私に懐いたのだ。

『ねぇ、見てよ。あれ。ユニコーンが……』
『誰にも心を開かなかったのに……』
『落ちこぼれ同士、馬があっただけじゃない?』

 神殿の人々は、目の色を変えた。
 蔑む対象から得体のしれないものとして認識されるようになった私を見かねた祭司が厄介払いを試みた結果、今に至る。

 ――神殿の人々にとって私が、どうでもいい存在であることは明らかだ。
 ただ、一角獣は希少な神獣だった。
 この子を逃したまま放置しておくとは、到底思えない。
 彼らは必ず、ユニコーンを取り戻そうとするだろう。

 私があの子を奪った誘拐犯として名を馳せる可能性についても、考えておくべきだ。

 ――本来であればすでに失われている命。
 私はどんな目に遭っても構わないけれど……。
 せっかく逃げてきたのだ。
 この子だけは、もう二度と神殿に囚われることなく、自由に生きてほしい。
 そう、思うから。
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