転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「ディルク~!」
甲高い少女の声が、彼の名を呼んだのだ。
何事かとそちらへ視線を向ければ、パニエを履いてふんわりと膨らませた踝丈のドレスを引き摺りながら、侍女らしき女性を連れた女性がこちらに向かって走ってやってきた。
「お、お待ちください! ノエル様~!」
侍女が少女の名前を叫んだ直後、心臓が嫌な音を立てて締めつけられる。
その名は、前世の妹と一緒だったからだ。
「やっと見つけた! もう、すっごく探したんだからね!」
嘘だ。そんなはずはない。
顔は似ても似つかないのだから、名前が同じ別人に決まっている。
私と同じように転生したなんて、もしもそんな信じられない奇跡が間近で起きたとしたら――。
「あたし、佐部乃絵留……」
――きっと、壊れてしまう。
そんな予感に怯えた私を容赦なく地獄へ叩き落とすかのように、他者の口から聞きたくなかった名が紡がれてしまった。
「あっ。間違えちゃった! ノエル・べサリオ! シエル・べサリオの、妹だよ!」
それを耳にした直後、鮮やかに色づいていた世界が黒く塗り潰された。
キラキラと7色に光り輝いていた美しき城下町の光景が、殺風景で無機質な白と黒の2色しかなくなってしまう。
その結果、私の心は絶望に支配される。
甲高い少女の声が、彼の名を呼んだのだ。
何事かとそちらへ視線を向ければ、パニエを履いてふんわりと膨らませた踝丈のドレスを引き摺りながら、侍女らしき女性を連れた女性がこちらに向かって走ってやってきた。
「お、お待ちください! ノエル様~!」
侍女が少女の名前を叫んだ直後、心臓が嫌な音を立てて締めつけられる。
その名は、前世の妹と一緒だったからだ。
「やっと見つけた! もう、すっごく探したんだからね!」
嘘だ。そんなはずはない。
顔は似ても似つかないのだから、名前が同じ別人に決まっている。
私と同じように転生したなんて、もしもそんな信じられない奇跡が間近で起きたとしたら――。
「あたし、佐部乃絵留……」
――きっと、壊れてしまう。
そんな予感に怯えた私を容赦なく地獄へ叩き落とすかのように、他者の口から聞きたくなかった名が紡がれてしまった。
「あっ。間違えちゃった! ノエル・べサリオ! シエル・べサリオの、妹だよ!」
それを耳にした直後、鮮やかに色づいていた世界が黒く塗り潰された。
キラキラと7色に光り輝いていた美しき城下町の光景が、殺風景で無機質な白と黒の2色しかなくなってしまう。
その結果、私の心は絶望に支配される。