転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
――佐部乃絵留。
それは前世で、私からすべてを奪った妹の名前だ。
ノエル・べサリオ。
大嫌いで、憎たらしくて。
二度と会いたくないと思った女が今世でも私の妹として転生していたなんて、知りたくなかった。
「……なんのようだ」
ディルクさんは低い声で、妹に問いかける。
どうして今、このタイミングなのだろう?
せめて、私がいないところで彼に声をかけてほしかった。
そうすれば取り乱すことはなく、黙ってアトリエに引っ込めばいいだけだったのに。
目の前にあの子がいる。
手が届くところで、私の愚痴を聞いてくれたディルクさんに話しかけた。
その事実が、どうしても受け入れられなくて――わたしは真っ青な顔で、ガタガタと震えるしかなかった。
「顔も見たことのない姉が逃げちゃったから。あたしが代わりに、王弟のディルクと結婚することになったの!」
隣にいる彼は、私の様子がおかしいとすぐ気がついた。
心配そうにこちらを見つめるディルクさんは、自分を安心させるために伸ばしてきた。
しかし、私は手から逃れるために距離を取る。
――ディルクさんと触れ合ったら、妹に対する憎悪をこの場でぶちまけてしまいそうだったから……。
それは前世で、私からすべてを奪った妹の名前だ。
ノエル・べサリオ。
大嫌いで、憎たらしくて。
二度と会いたくないと思った女が今世でも私の妹として転生していたなんて、知りたくなかった。
「……なんのようだ」
ディルクさんは低い声で、妹に問いかける。
どうして今、このタイミングなのだろう?
せめて、私がいないところで彼に声をかけてほしかった。
そうすれば取り乱すことはなく、黙ってアトリエに引っ込めばいいだけだったのに。
目の前にあの子がいる。
手が届くところで、私の愚痴を聞いてくれたディルクさんに話しかけた。
その事実が、どうしても受け入れられなくて――わたしは真っ青な顔で、ガタガタと震えるしかなかった。
「顔も見たことのない姉が逃げちゃったから。あたしが代わりに、王弟のディルクと結婚することになったの!」
隣にいる彼は、私の様子がおかしいとすぐ気がついた。
心配そうにこちらを見つめるディルクさんは、自分を安心させるために伸ばしてきた。
しかし、私は手から逃れるために距離を取る。
――ディルクさんと触れ合ったら、妹に対する憎悪をこの場でぶちまけてしまいそうだったから……。