転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「ニコーン……。ユニィ……」

 あの子なりに、勇気づけようとしているのだろう。
 私は一角獣を抱きしめながら、涙が枯れるまで泣き叫び続けようとした。
 しかし――。

「お嬢様!?」

 リルマさんに声をかけられ、泣いてばかりもいられないと涙を引っ込ませる。
 ゴシゴシと目元を拭えば、男性の大きな指先が私の手首を強い力で掴んで止めた。

「や……っ」
「落ち着けって。何があった? ディルクは? おじさんに、言ってみろ。聞いてやっから」

 その手の正体は、カルトンさんだった。
 普段の私だったら、世間話すらしたことのない彼らに己の苦しみを伝える気にはなれなかっただろう。
 でも、今は……。
 自分だけで抱えこんでいたら、壊れてしまいそうでーー。
 私はか細い声で、現状を伝える。
 
「やっとあの子から、逃れられたと思ったのに……」
「それが、お嬢さんとユニコーンがここにやってきた理由か?」

 カルトンさんの疑問にふるふると横に首を振り、否定する。
 それとはまた別の理由だと説明しなければ、話の全貌がいつまで経っても明らかにならないと考えたからだ。

 今の自分に、うまく伝えられるだろうか?
 わからないけど、やるしかない。
 私は勇気を振り絞り、護衛騎士に告げた。
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