転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「嘘、つき……」

 ――やっぱり私は、誰からも必要となんかされていなかった。
 生きているだけで、邪魔な存在。
 なんの価値も見出せず、妹を輝かせるための道具としての利用価値しかない……。

『君を失いたくないと思うほどに、深く愛している』

 ディルクさんに愛を囁かれて、喜んでいた自分が馬鹿みたいだ。

「おい、嬢ちゃん。どういうことだよ。オレたちにも、わかるように説明を……」
「信じて、いたのに……!」

 涙目で力いっぱい泣き叫び、手首を掴んでいたカルトンさんの手を勢いよく振り払う。

「ユニィッ!?」

 目を瞑っていたユニコーンが何事かと身体を起こし、私と揉めている相手がカルトンさんだと気づいて狼狽える。
 ディルクさんが信頼している護衛騎士に危害を加えてもいいものかと、迷っているのだろう。

「1人に、して……っ!」
「シエル様……っ」
「みんな、大嫌い……!」

 少し優しくされたからって、気を許すべきではなかった。
 人間なんて信じなければよかったのだ。
 そうすれば、こんな風に悲しむことも、苦しむこともなかった。
 あの子に何もかもを奪われて、めちゃくちゃにされるくらいなら――自分で壊すべきだ。
 妹に奪われないように。
 すべてを、守るために――。
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