転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 難色を示しながら顔を見合わせた公爵夫妻に、俺は念押しする。

「この件はくれぐれも、下の娘と神殿には知られることがないように」
「そ、それはもちろん! 心得ている……!」
「あの子が幸せになれるのなら、それが一番です。私たちにできることがあるなら、なんでも言ってください。協力いたします」

 公爵夫人のありがたい申し出を受けた俺は、さっそく協力を依頼する。

「下の娘は、シエルと顔を合わせたことがないと言っていた」
「ええ。間違いありません。ノエルに姉がいると伝えたのは、シエルが神殿から逃げ出したあとだから……」
「だが、本人は妹にすべてを奪われたと言っていた。これは一体、どういうことだ?」
「な、なんのことでしょう……?」

 わからないから聞いているのに、疑問で返されても困る。
 公爵夫妻は本当に心当たりがないらしく、なぜそんな話になっているのかと困惑していた。
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