転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「初対面のはずなのに、姉は異常なまでに妹へ恐怖をいだいていた。俺はその理由が知りたい」
「それは、私たちも同じです。2人は本当に、言葉を交わしたことがないんです……」
「その割には、妹は姉を当然のように不出来、無能と罵っていたが」
「そ、それは……」
「あの子はずっと、自分が1人娘だと思っていて……。ある日突然顔も知らない姉ができたことに驚いたのでしょう……。いまだに、受け入れられないのかもしれません……」

 公爵夫人の話は到底受け入れがたいものだった。
 これ以上話を聞いても無駄だと悟った俺は席を立ち、頭を下げる。

「公爵夫妻のお気持ちは、わかりました。あとはこちらで、なんとかします」

 そうして何事もなかったかのように踵を返すと――公爵邸をあとにした。
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