転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 公爵夫妻にシエルを保護したと打ち明けた手前、あとをつけられては堪らない。
 俺は一度王城へ戻り、溜まりに溜まった業務を片づけることにした。

「殿下! あまりにも、ご静養が長すぎます!」
「今すぐに処理しなければならない仕事だけをまとめてくれ。終わり次第、すぐに戻る」
「本当に勝手なんですから……!」

 兄が父から王の座を引き継いで随分経つが、1人ではこなしきれない公務も多い。
 それをサポートするのが俺の役割だ。
 シエルとの時間を優先するあまり仕事を疎かにしたため、部下たちにもしわ寄せが来ているからか。
 必要最低限の仕事が終わるまでは絶対に逃さないという圧を感じた。
 
「俺は今まで、散々我慢した。もう、充分だろう。これからはシエルを第一に考えて生きる」
「神殿よりも早く許嫁を探し出せて喜んでいらっしゃるのはわかりますが、仕事を放棄するのだけは止めてください」

 こんなことになるなら、最初から真面目に取り組まなければよかった。
 俺はそう後悔をしながらどうにか1週間で仕事を片づけ、別邸へと顔を出した。

「遅い!」

 俺を出迎えた幼馴染から叱りつけられたが、カルトンに構っている暇などない。
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