転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 この世界に生まれ変わったノエルは、前世と同じかそれ以上に恵まれた容姿を持つ少女だった。
 私なんかよりもずっとかわいくて、王弟の妻にふさわしい女の子。
 あの子が彼と結婚するつもりでいる以上、私がディルクさんに好きと伝えたところで、傷つくだけだ。

「妹を恐れるならば、俺があの女から守る」

 私はあの子の顔なんてもう2度と見たくなかった。
 かかわることなくひっそりと、生きていきたい。
 ディルクさんと結ばれることによってそれが難しくなるのなら、命を終えたほうがよほどマシだ。

「あの子のことが、そんなに好きなら……」
「シエルが傷つく姿は、もう……。見たくないんだ……」

 ――私ではなく、ノエルに言い寄ったらどうですか。
 その嫌味ったらしい言葉が、すべて唇から紡ぎ出されることはなかった。
 彼の口から、己の名が飛び出てきたからだ。

「たとえこの命と引き換えにしたとしても、俺は君を守りたい」
< 99 / 249 >

この作品をシェア

pagetop