「好き」があふれて止まらない!
絶対に大きなステージに連れていく【我妻side】

MEBIUSは今日、初めてライブでラブソングを披露した。

俺たちが書けなかった歌詞を書いてくれたのは、同じクラスの比高咲茉。

休み時間はいつも本を読んでいて、誰かと一緒にいるところは見たことがない。

ある日、俺はそんな彼女の秘密を知り、ラブソングの歌詞を頼んだ。

それから一緒にいる時間が増えて俺たちはクラスメイトから仲間になった。

「俺と新は楽器店に寄ってから帰るよ。またね、咲茉ちゃん。奏人」

「またな、咲茉」

「また明日⋯⋯せっ、千里先輩。あ、あら新」

隣で名前呼びに苦戦する咲茉を見て吹き出しそうになった。可愛くて。

十分前、俺が咲茉を名前で呼んだことから全員が名前で呼び合う流れになった。

一か月一緒にいて遅いくらいだと思う。

俺たち三人と違って咲茉はまだ名前で呼び合うことに慣れないらしい。


「我妻くんは一緒に楽器店に寄らなくてもいいの?」

「我妻くん?」

少し屈んで咲茉の顔を覗き込む。

「かっ、⋯⋯かな⋯⋯と」

咲茉の真っ白な肌はみるみるうちに赤くなっていった。

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