「好き」があふれて止まらない!
「というか、どうしてあんたが俺のためにそこまでするの」
「最初はMEBIUSに入ってほしいって気持ちだけだった。だけど、今は桜路くんにピアノを諦めてほしくないって思うの! わたしにも好きなことがあるから」
「あんたの好きなことって何? マネージャーだし、人の世話とか?」
桜路くんのことだけ聞くなんてフェアじゃないよね。
「わたしの好きなことは……、って、その前にわたし実はMEBIUSのマネージャーじゃなくて」
かかとを上げて、誰にも聞かれないように桜路くんの耳元で話す。
「な、なんだよ。近いな」
「MEBIUSのラブソングを書いてるの。小説を書くのが好きで、作家志望なんだ」
「隠してるってことは周りには秘密なんだろ? 俺に話してもいいのかよ」
「うん。桜路くんが本当の気持ちを話してくれたから、わたしも話そうと思って」
それに桜路くんは言わないと思ったんだ。
周りの人のことを考えて行動する人だから。