「好き」があふれて止まらない!

「というか、どうしてあんたが俺のためにそこまでするの」

「最初はMEBIUSに入ってほしいって気持ちだけだった。だけど、今は桜路くんにピアノを諦めてほしくないって思うの! わたしにも好きなことがあるから」

「あんたの好きなことって何? マネージャーだし、人の世話とか?」

桜路くんのことだけ聞くなんてフェアじゃないよね。

「わたしの好きなことは……、って、その前にわたし実はMEBIUSのマネージャーじゃなくて」

かかとを上げて、誰にも聞かれないように桜路くんの耳元で話す。

「な、なんだよ。近いな」

「MEBIUSのラブソングを書いてるの。小説を書くのが好きで、作家志望なんだ」

「隠してるってことは周りには秘密なんだろ? 俺に話してもいいのかよ」

「うん。桜路くんが本当の気持ちを話してくれたから、わたしも話そうと思って」

それに桜路くんは言わないと思ったんだ。

周りの人のことを考えて行動する人だから。

< 73 / 126 >

この作品をシェア

pagetop