温泉街を繋ぐ橋の上で涙を流していたら老舗旅館の若旦那に溺愛されました~世を儚むわけあり女と勘違いされた3分間が私の運命を変えた~
 そうして着いたのは、小さな花屋だった。
 誕生日プレゼントにポインセチアやクリスマスっぽいアレンジを贈るのはなしだろうな。12月といったらあとはなんだろう。雪をイメージは安着すぎるし華がないようにも思える。

 店内に並んでいる花を眺めても、やっぱり赤色が目立つ。これからの時期、クリスマスに年始と考えたら当然のラインナップなんだろう。

「赤いブーケだとクリスマスプレゼントっぽいですね」
「それもいわれたことがある」
「うーん……女将の好きな色がわかればなぁ」

 首を捻りながら女将の姿を思い浮かべた。
 日頃から寒色系の着物を好んでいるし、赤いものを身に付けているのは、ほとんど見たことがない。帯留めとかアクセサリーとして差し色に赤を使うことはあるけど、青色がよく似合うんだよね。

 私にはあまり合わない色がだから、憧れも相まって羨ましい限りなんだけど。

「あ……ターコイズ」
「ん?」
「12月の誕生石って、ターコイズですよね?」
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