御影の王
転校初日はこんなやり取りもあって、この学園での先行きに不安を覚えたものだったが、以降は取り立てておかしな事が起こるでもなく、やはり第一印象通りの平凡な毎日が俺を待っていた。

穏やかな学園生活。

どこにでもある日常。

初日以降、騒がれたといえば体育の時間のマラソンだったろうか。

「お前10キロを15分以内で帰って来たのか!?」

ストップウォッチを握っていた体育教師が目を丸くする。

…足の速さと持久力には自信がある。

転校したこの学校でも、校内新記録を早々に樹立してしまっていた。

「まるで風…疾風だな」

「疾風の紅かぁ」

クラスメイトが口々に呟く。

その恥ずかしい異名を耳にして、宮川だけが頬をひくつかせていたのは、俺には理解できなかったのだが。




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