御影の王
その一年の女子は、現在剣道部に所属しているのだという。

何となく、その剣道部のいる剣道場に足を運んでみる。

…竹刀を打ち合う乾いた音と、威勢のいい掛け声。

武道の道場というのは、何であろうと凛とした雰囲気が漂っているものだ。

背筋が伸びるような感じがして、俺は嫌いではない。

剣道場では、二十人ほどの部員が打ち込みをしたり、試合形式で稽古をしたりしている。

その中に。

「めぇえぇんっ!!」

一際動きのいい部員がいた。

踏み込み、竹刀の振り、気合の乗った声。

俺は剣道の心得はないものの、素人目に見てもその部員は一人だけ群を抜いて動きがいいのがわかった。

…稽古の後、対戦相手に礼をして、その部員は道場の片隅に正座。

傍らに竹刀を置き、呼吸を整えながら面をとる。

その面の中から現れたのは。



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