白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
もしもの1%でも起こったら、裁判で負けるからだ。

だから少しでも麻痺・感覚障害が残るなら、三島さんに告げるべきだ。

でも彼女は、それを読むだけで俺に託した。

彼女を裏切らない。

この前例のないオペに、俺は真っ向から挑む。

すると黒川先生が、三島さんに寄り添う俺の肩を叩いた。

「同意書、サイン貰ったんだね。」

「はい。」

「三島さんのオペ、明後日だ。それまでシミュレーションできるよ。」

「お願いします。」

俺は立ち上がると三島さんを見て、病室を出た。

そして俺は真っ直ぐに、ダヴィンチルームへと黒川先生と共に向かった。

「AVMは血管が、蜘蛛の巣のように入り乱れている。シミュレーションでは“どの血管を先にクリップ(止血)するか”の順番が最も重要だ。」
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