白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
俺は操作席に乗って、仮想のクリッピング手順を繰り返した。

「いけそうだな。」

黒川先生が俺を励ます。それだけで俺の腕は自信を増す。

その時だった。鷲尾先生が、ダヴィンチルームに入って来た。

「ああ、来たな。」

黒川先生が鷲尾先生を俺の前に立たせる。

「第一助手は鷲尾先生だ。彼女、ダヴィンチの第一助手に長けてる。」

「宜しく。渡部先生。」

俺は操作席を降りると、鷲尾先生と握手した。

彼女の手、握るのはあの夜以来だ。

「流入動脈は3本。最初の切離は俺がアーム1で。」

「了解。2番は私がテンションを保ちます。」

そう言うと鷲尾先生は、ノートを取り出して俺の指示を書き始めた。

「もし破裂したら、俺が止血に回る。君はすぐ吸引を。」
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