白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
そう言うと彼女は、ため息をついた。

「……分かったわ。でも何でも、自分一人で抱え込まないで。」

そして黒川先生が、二人の背中を叩いた。

「二人ともプロフェッショナルだ。全員が信じて動くこと。」

「はい。」

「これは試験的ロボット手術。やろう。」

黒川先生がそう言うと、俺と鷲尾先生はシミュレーションを繰り返した。

だが俺の手の動きに、アームが追い付かない。

「落ち着いて、悠真君。」

一瞬であの夜を思い出す。

「もっとアームを頼って。」

「だが、脳外科のオペは10時間前後かかる。一秒でも早く動かすべきだ。」

「でも、アームは人間の手より遅い分、正確よ。0.1mm単位で制御できるわ。」

俺は彼女をチラッと見た。

「それに、指先の微細な動きを10倍ズームで視覚化できる。震えはないから合併症のリスクも軽減できる。」
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