白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
俺は意気揚々と、ベッドの端に座った。

「なんか今夜の悠真先生、生き生きとしてる。」

「分かる?さすが美玖だね。」

誉めると美玖の表情は、嬉しそうに綻んだ。

「明後日、俺は前例のない手術を執刀する。」

「それって、悠真先生が新しい歴史を作るってこと?」

「そうなるかもね。」

そう言うと美玖は、ワクワクした表情をした。

「いいなあ。歴史を塗り替えるって、なかなかできることじゃないもんね。」

「そうかな。」

「だって私は、クラシックの歴史なんて、塗り替えることはできないもん。」

美玖の表情は、くるくる変わる。

見ていて飽きない。

1分1秒だって、彼女から視線を外す事はできない。

「新しいピアノ構想曲でも、作曲出来たらいいのにな。」
< 110 / 298 >

この作品をシェア

pagetop