白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
敵わない。美玖には。

「悠真先生、好きよ。」

ああ、美玖。君を今すぐ俺のモノにしたいのに、それができないなんて。

この手はなんて、もどかしいんだろう。

「キスして、悠真先生。」

胸がドクンと鳴る。

「美玖。ここは病室だよ。」

「誰も見てないわ。」

小悪魔な美玖の誘いに、顔が勝手に動く。

美玖の顎に手を添えると、唇を重ねた。

柔らかい感触が、俺の全身を駆け抜けた。

「ぁぁ……」

その甘い声に貪るようなキスを繰り返す。

「はぁ……」

ああ、ダメだ。これ以上は、彼女を抱きたくなる。

唇を離すと、美玖がそれを追いかけた。

「美玖、ダメだ。」

「どうして?」

「理性が利かなくなる。」

そう言うと美玖は、俺の唇にチュッと軽いキスを施す。

「悠真先生、かわいい。」
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