白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
手術室の中に入ると、時計は10時前を示していた。

「麻酔、もう少しかかります。」

「ゆっくり行きましょう。」

麻酔科医の医師の言葉にそう答え、アームの調節を見た。

「三島さんも、緊張してるのかな。」

里奈さんに言われ、俺は滅菌手袋を外した。

「悠真君?」

「三島さんの手、握るだけです。」

滅菌を破る行為。

それが何を意味するか、誰よりも分かっていた。

それでも——。

「大丈夫。俺がここにいます。」

そう言って三島さんの手を軽く握った。

しばらくして、麻酔科医から麻酔の完了が届いた。

「もう一度、手洗いよ。」

「行って来ます。」

里奈さんの言葉に、俺は従った。

「悠真君って、ほんと罪深い人ね。」

彼女の声が俺の耳に届いて、俺は何となく笑ってしまった。

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