白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
手洗いをして、滅菌手袋をし、俺はもう一度オペ室に入った。

オペ室の時計が、午前十時時十五分を指していた。

ライトが三島さんの頭上を照らし、静寂が張り詰める。

「——手術を開始します。」

俺の声がマスク越しに響いた。

ダ・ヴィンチのモニターが光り、四本のアームがゆっくりと動き出す。

まるで人の神経のように、緻密に、正確に。

「出血、最小限です。」

里奈さんの報告に、俺は小さく頷いた。

モニターの奥、たった一ミリの血管を避ける。

一瞬でも誤れば、脳の機能が失われる。

「頼む、動くな。」

額に汗が滲む。

冷たい機械のアームの先に、自分の指先の感覚を重ねる。

脳内の血管を拡大した3D映像。

「吸引器。出血部位確認。……よし、止血。」

オペ室の空気が一段と張り詰める。
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