白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
私は微笑みながら、棚の上にその小さなブーケを置いた。

「うん。ここにぴったり。」

そしてベッドの中に入ると、悠真先生は椅子に座った。

よく見ると、今日の悠真先生。私服だ。

薄いグレーのニットに、ブラックジャケット。

どこかに出かけるつもりなのかしら。

「その恰好、悠真先生に似合う。」

「そう?」

「うん。なんか自慢の彼氏みたい。」

その瞬間、悠真先生はニコッと笑ってくれた。

否定してくれてもいいのに。

「実は今日、クラシックのコンサートに行くんだ。」

「コンサート!」

私の心は晴れやかになった。

「いいなぁ。誰の?」

悠真先生はカバンから、コンサートのチケットを取り出した。

「この人なんだけど、知ってる?新進気鋭のピアニストだって。」
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