白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
同じ音大の同級生。

彼は決して天才肌ではなかった。

毎日の努力が積み重なった人。

その人が、今日プロデビューを果たす。

きっと朝倉君のコンサートは、成功するだろう。

これからずっと、彼はピアニストとして生きていけるのだ。

ふと悠真先生がくれた小さなブーケが、私の目に入って来た。

花束を受け取るのは、コンテストで優勝した以来だ。

優しい白いお花。

その存在が、悠真先生を思い出させてくれる。

居ても立っても居られなかった。

私は初めて、病室の外に出て見ようと思った。

スリッパを履いて、病室のドアを開ける。

廊下には患者さんと、お見舞いに来ている家族の人がたくさんいた。

しばらく歩くと、病棟に真ん中にコミュニティスペースがあった。
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