白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「今日渡部は?」

黒川先生の言葉を聞いて、私は先生の腕を握った。

「どうした?美玖ちゃん。」

「悠真先生、今日コンサートを見に行ってるの。」

「だからどうした?美玖ちゃんが苦しんでるんだ。」

「邪魔しないであげて……お願い。」

そう伝えると黒川先生が、看護師に伝えた。

「唇が紫色になりかけている。SpO₂低下(酸素不足)。酸素投与開始して。」

「はい。」

黒川先生は私に話しかけた。

「美玖ちゃん。もし、発作が収まらないのなら、俺一人じゃ対応できない。その時は渡部先生を呼ぼうね。」

私は首を横に振った。

「ダメ……ダメなの……」

「美玖ちゃん……」

「お願い……悠真先生に……あの音を、聴かせてあげて……」

ああ、あの祈りにも聞こえる音が、朝倉君を通じて悠真先生に聞こえたら。
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