白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「くそっ!マナーモードか!メールしろ!患者は天音美玖。全身けいれんだ!」

「はいっ!」

ガタガタ、体が震える。

怖い。私、このまま死ぬの!

「セルシン10mg、静注!」

転落防止にベッドの柵を上げられる。

「……頼む、止まってくれ。渡部が来るまで……!」

その時だった。

「黒川先生!隣の302号室も意識消失です!」

「こんな時に!」

黒川先生は、ベッドの端を叩いた。

「どっちも死なせられない!渡部!早く来い!」

そう言って黒川先生は、病室を出て行った。

お願い。震えよ、止まって。

震えが止まらないのなら、悠真先生は来てしまう!

「ううううう!」

「天音さん!黒川先生!先生っ!」

看護師が隣の病室に、黒川先生を呼びに行く。

悠真先生、私。
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