白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
でもそれは、命をつなぐための唯一の選択だった。

「これでいいの。例え、指を失っても。」

「美玖。」

悠真先生は私を見つめて、力強く言った。

「君を死なせない。命も音も俺が救う。」

私はその言葉に、ただ微笑んだ。

「手術、明日だから。今夜はぐっすり眠るんだよ。」

「はーい。」

手を上げると悠真先生は、私の頭をコツと叩いた。

「こら。ふざけない。」

私があははと笑うと、悠真先生も微笑んだ。

先生、最近笑う事が多くなった。

出会ったばかりの時は、処置する時も説明する時も、話をする時でさえ無表情だったのに。

「美玖。」

「なあに?悠真先生。」

先生は私の頬に手を当てた。

「君のその笑顔に、俺は何度救われたか分からない。」

「先生……」


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