白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
そして先生は、ちらっと時計を見ると、私から手を離した。
「そろそろ帰るね。」
急に寂しくなった。これが最後の夜でもないはずなのに。
「明日の朝は、オペ室で会うことになるね。」
いつもはうんと頷けるのに、今は頷けなかった。
「ねえ、先生。」
「ん?」
「手術して、そのまま目が覚めないなんてことはある?」
先生の息がゴクンと飲み込まれる。
「可笑しいよね。そんな事思うなんて。」
「美玖……」
「でもね。やっぱり思うの。今夜が生きていられる、最後なんじゃないかって。」
先生は私を抱きしめてくれた。
「そんな事思わなくていい。」
「悠真先生……」
「美玖は死なない。俺が死なせないから。」
悠真先生の心臓の音が、私に聞こえる。
ああ、このリズムは少し早い。
きっと1分間に100から120を刻む、モデラートのリズムね。
「そろそろ帰るね。」
急に寂しくなった。これが最後の夜でもないはずなのに。
「明日の朝は、オペ室で会うことになるね。」
いつもはうんと頷けるのに、今は頷けなかった。
「ねえ、先生。」
「ん?」
「手術して、そのまま目が覚めないなんてことはある?」
先生の息がゴクンと飲み込まれる。
「可笑しいよね。そんな事思うなんて。」
「美玖……」
「でもね。やっぱり思うの。今夜が生きていられる、最後なんじゃないかって。」
先生は私を抱きしめてくれた。
「そんな事思わなくていい。」
「悠真先生……」
「美玖は死なない。俺が死なせないから。」
悠真先生の心臓の音が、私に聞こえる。
ああ、このリズムは少し早い。
きっと1分間に100から120を刻む、モデラートのリズムね。