白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
先生は立ち上がると、背中を見せた。

「美玖。」

「ん?」

「退院したら、どこか遊びに行こうか。」

「うん。楽しみにしてる。」

その言葉が昨日の夜を、一度だけじゃないと教えてくれる。

「今日のオペ、必ず成功させるから。」

その背中はもう、医師の姿に戻っていた。

なんだ、つまらない。

もっと朝も、イチャつけると思ってたのに。

「医者って、必ずって使わないって聞いたけど。」

「それでも使うよ。美玖にはね。」

そしてそのまま振り返らずに、悠真先生は病室を出て行った。

手術までまだ2時間もある。

「あーあ。何してようかな。」

よく見ると、胸元に昨日の夜の、痕跡が残っている。

「あちゃあ。看護師さんにバレないかな。」

私はそんな事を気にしながら、体温計を手に取った。
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