白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
里奈さんはなぜか今日だけは厳しい。

そして黒川先生が、オペ準備室にやってきた。

「えっ?何?この緊迫感。」

ちょっと驚いている黒川先生がいる。

「黒川先生、もし悠真君が情に流され、冷静な判断ができない場合は、私が執刀してもいいですか。」

「いいけど、なんで?」

黒川先生がきょとんとしている。

「悠真君の天音さんへの想いは、状況を逸脱しています。」

「あはは、何それ。」

「笑いごとじゃありません!」

里奈さんの言葉に、黒川先生も苦笑いだ。

「知ってるよ。彼は美玖ちゃんに惚れてるんだろ。」

「黒川先生!」

里奈さんの顔が、黒川先生に近づく。

「まあ、鷲尾先生。確かに、医師には冷静な判断が必要だ。特にオペの時にはね。」

< 159 / 298 >

この作品をシェア

pagetop