白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
黒川先生は何も言わない。

「美玖が、目を覚ました時。一番最初に、見つけてあげたいんです。」

そう言うと黒川先生は、静かに俺の側から離れて行った。

「渡部先生は、今夜天音さんに付きそうつもりですか?」

「そうかもしれないです。」

傍で看護師の石田さんと、黒川先生の会話が聞こえてくる。

俺は美玖の手を握った。

何を言われても、構わない。

美玖の傍を離れたくないんだ。

「美玖が目を覚ました時、一番最初におはようを言うのは、俺だよ。」

彼女は目を覚まさないんじゃない。

麻酔で眠っているだけだ。

そう言い聞かせても、美玖がこのまま目を覚まさなかったらどうしようなんて、勝手に思ってしまう。

いつの間にか、どうしようもなく。

美玖の存在が、俺に溶け込んでいるのが分かった。
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