白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「大変ですね。」

「いつもの事です。」

俺はロッカー室で着替えると、いつものようにショパンを聞きながら、家に帰った。

通勤時間は10分程。

エレベーターに乗って、36階に昇ったところが俺の家だった。

玄関を開けてリビングに行くと、今日は天気がいい事に気づいた。

「洗濯でもするか。」

脱衣所にある洗濯機に、洗濯物を入れてスイッチを押す。

「意外とあるな。」

家族がいない一人暮らし。

気ままなのもそのおかげだ。

その時、スマホが鳴った。

「はい、渡部です。」

『ああ、悠真?お母さんだけど。』

「なんだ、母さんか。」

まさか美玖のことで、オンコールなのかと思った。

『今の時間、電話に出られるって、休みなの?仕事。』

「いや、夜勤なんだ。昼間は時間あるよ。」
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