白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
俺はため息をついた。

「母さん。俺もう35なんだけど。下着ぐらい自分で買えるってば。」

「その35の息子が、結婚もせずに仕事ばっかりしているのが、心配なんでしょ。」

うーん。親ってそういうもの。

結局子供がいくつになっても、子供の事を心配してくれる。

有難い存在なんだ。

「あのさ。俺が結婚するってなったら、どうする?」

「えっ?そんな人がいるの!」

途端に母さんは、ウキウキした。

「いいわね。ウチは男兄弟3人だから、お嫁さんが自分の娘みたいなものだわ。」

ちなみに弟達は、30歳と28歳。

ちょうど結婚適齢期だ。

「あなたが早く結婚してくれたら、下二人も結婚してくれるのよね。」

「はいはい。努力しますよ。」

母さんとの会話も、今日はいつもより楽しいのは、美玖がいてくれるからだろうか。
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