白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
翌日。また渡部先生は、手術同意書を手にやってきた。

「気は変わりましたか?」

「変わりません。先生こそ、後遺症が出ないような手術を考えて下さい。」

「ですが後遺症と言うのは、どの手術にも可能性があるもので……」

私は先生を睨んだ。

「そういう事じゃありません。」

「……どういう事でしょう。」

やっぱりこの先生は、何も分かっていない。

私の指が動かなくなるという事が、どういう事なのか。

「先生は、私を分かっていない。」

「……確かに。あなたのプロフィールしか、俺はまだ知っていません。」

淡々と述べるその口調が、腹立たしかった。

きっとこの人は、誰にでもありきたりの言葉を並べるのだろう。

この人にとって、手術はただの仕事なんだ。

「手術以外に、治す方法はないんですか。」

渡部先生は、同意書の裏にペンですらすらと何かを書き始めた。

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