白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「そうだな。俺の中では、そうなってるけど。」

私はふーんと頷いた。

「なに、同意書必要?交際同意書みたいな?」

「……私、まだサインできないけど。」

「あはは。必要なんだ。そんなもの。」

悠真先生の笑顔が、太陽みたいに明るかった。

「もし、必要だったら……私がサインするまで、何度も来てくれる?」

「当たり前だろ。何度も君に会いに行く。」

そしておもゆの最期の一口を食べると、悠真先生は右手の親指を立てた。

「全部食べれたね。」

「悠真先生が、食べさせてくれたおかげ。」

そう言うと悠真先生は、立ち上がってお盆を下げてくれた。

私は自分の指を見つめた。

また動くようになる時がくるのだろうか。

そして、またピアニストとして、舞台に立つ日がやってくるのだろうか。
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