白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
今まで恋の話なんて、してこなかった。

恋愛よりも、ピアノが優先だったから。

「……それは、悠真先生は知ってるの?」

「う、うん。一応。」

そういう事にしておこう。

まさかもう抱かれた何て言ったら、お母さん倒れてしまう。

その時だった。悠真先生が、病室のドアを開けて入って来た。

「美玖。」

その瞬間、悠真先生はお母さんに気づいて、たじろいだ。

「ええっと、美玖さん。気分はどう?指、動くようになった?」

改まった感じで聞く悠真先生が、なんだか可笑しい。

「悠真先生。」

「は、はい。」

先生はお母さんの前で、背筋をピンとする。

「娘の指は、まだ完全ではないようです。」

「そうですか。もう少し時間かかるようですね。ゆっくり行きましょう。」
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